近年、デジタル化が進む中で、企業はWebサイトを制作する必要性が高まっています。この流れに伴い、UI(ユーザーインターフェース)およびUX(ユーザーエクスペリエンス)デザインの需要が急増しています。
良いUXは、ユーザーに心地よく、満足できる体験を提供し、企業の競争力を維持するための重要な要素となります。
このような背景のもと、UXデザイナーの役割がますます注目されています。
本記事では、UXデザイナーの具体的な業務内容や必要なスキル、資格、そしてUXデザイナーになるまでのプロセスについて詳しく解説していきます。
UXデザイナーを目指している方にとって、必見の内容です!
UXデザインとは?
本章では、UXデザインについて、UIデザインとの違いも含め解説していきます。
UIデザインの定義
UX(ユーザーエクスペリエンス)とは、User Experienceのことであり、ユーザーが製品やサービスを使用することで得られる全体的な体験を指します。UXは、UIを含むより広い概念で、ユーザーがサービスを使用する前から、使用中、使用後に至るまでのすべての体験を網羅します。
UXデザインは、
- ユーザビリティ(使いやすさ)
- アクセシビリティ(アクセスのしやすさ)
- デザイン性(見た目の美しさ)
- パフォーマンス(動作の速さや安定性)
などの要素を考慮し、ユーザーにとって価値のある体験を提供することを目指しています。
また、優れたUXとは、ユーザーが製品やサービスを利用する際のストレスや不満を軽減し、「繰り返し使用したい」と感じさせるなど、ユーザーの満足度を向上させ、製品やサービスに対するロイヤルティに貢献します。
そのため企業にとって、コンバージョン率の向上や顧客のリテンション(再利用)を促進し、競合他社との差別化につながるUXデザインがとても重要となります。
UIデザインとの違い
UI(ユーザーインターフェース)とは、User Interfaceのことであり、ユーザーが製品やサービスと直接関わる際の視覚的要素のことを指します。具体的には、ボタン、メニュー、アイコン、色彩、フォントなど、ユーザーが目にするすべてのデザイン要素が含まれます。これは、デジタル製品に限らず、家電製品の操作パネルなど物理的な製品にも適用されます。
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以下の記事ではUI/UXデザインについて詳しく解説しております!!
UXデザイナーとは?
UXデザイナー(ユーザーエクスペリエンスデザイナー)は、ユーザーが製品やサービスを利用する際に得られる体験を設計する専門職です。UXデザイナーは、ユーザーが「使っていて心地いい」や「楽しい!」と感じ、満足感を得られる体験を提供することを目指します。
本章では、UXデザイナーの業務内容と必要なスキル、年収について解説していきます!
主な業務内容
UXデザイナーの業務は多岐にわたりますが、一般的にはアメリカのUXデザイナーのJesse James Garrett氏による「Elements of User Experience」で提唱されたUXの概念「戦略、要件、構造、骨格、表層」の5段階モデルが活用されます。
このモデルは、ユーザー体験を構成する5つの要素を明確にし、UXデザインのプロセスを理解するための基盤を提供しています。
戦略(Strategy)…製品が解決すべき問題やユーザーのニーズ、ビジネスの目標の明確化。
UXデザインの出発点として、ユーザーが求める価値やどんな課題を解決するかを把握し、全体の方向性を決定します。
要件(Scope)…ユーザーの体験を最大化する使用されやすい機能や売れやすい要件を設定。
製品がどのような機能やコンテンツを持つべきかを定義し、機能要件(どの機能を実装するか)とコンテンツ要件(どの情報を含めるか)を決定します。
構造(Structure)…要件段階で設計した要件を元にしてサービスや体験、情報や機能の全体構造を設計。デザインの組織化とインタラクションの仕組みを考えます。情報アーキテクチャやインタラクションデザインが含まれ、ユーザーが操作しやすい構造を作り、どのように情報を探し、操作されるかを設計します。
骨格(Skeleton)…ユーザーのニーズに沿って構造段階で設計した設計図をより具体的に設計。この層では、UIデザイン(インターフェース要素の設計)、ナビゲーションデザイン(ユーザーがシステム内を移動する方法)、情報デザイン(情報を理解しやすく提示する方法)が含まれる。
表層(Surface)…プロダクトにおいて実際にユーザーが目にするビジュアル部分をデザイン。色やフォント、レイアウトなど、ユーザーが実際に目にする部分がこの層に該当します。UIデザインが最も顕著に現れる段階であり直感的な操作が求められる。
全体的なユーザー体験を向上させるためには、これらの要素を一貫して考慮する必要があります。
必要となるスキル
U Xデザイナーには以下のようなスキルが必要となります。
1. デザインに関する知識
グラフィックデザインやインターフェースデザインの基本的な知識を持ことで、視覚的に魅力的で使いやすい製品を設計することが可能になります。デザイン原則やトレンドを理解することで、ユーザーにとって価値の高いデザインを提供することができます
2. 探究心・分析能力
ユーザーの行動やニーズを深く理解するためには、探究心と分析能力が不可欠です。UXデザイナーは、ユーザーリサーチやデータ分析を通じて、ユーザーの期待や問題点を把握し、それをデザインに反映させる必要があります。
3. プレゼンテーションスキル
自身のデザインコンセプトやアイデアをチームやクライアントに効果的に伝えるためのプレゼンテーションスキルが求められます。視覚的な資料を用いて、デザインの意図や利点を明確に説明することで関係者の理解と支持を得ることができます。
4. SEOやマーケティングの知識
SEO(検索エンジン最適化)やデジタルマーケティングの基本的な知識を持つことが望ましいです。これにより、ユーザーが製品を見つけやすくし、ビジネスの目標に貢献するデザインを行うことができます。マーケティングの視点を取り入れることで、ユーザーのニーズに合った効果的な体験を提供できます
5.コミュニケーション能力
クライアントやユーザーを含めたチーム内外での効果的なコミュニケーションは、UXデザイナーにとって非常に重要です。特に、ユーザーからのフィードバックをチームに伝える能力が求められます。良好なコミュニケーションは、良い顧客体験を提供するというプロジェクトの成功に直結し、チーム全体の協力を促進してくれます。
年収
では、UXデザイナーはどのくらい稼ぐことができるのでしょうか?
マイナビIT AGENTによると、UXデザイナーの平均年収は400万円〜1,000万円と言われています。
経験年数やスキル、雇用形態によって変動するものの、エンジニアとして需要が高まっている職業であり、1,000万円越えも夢ではありません。
正社員とフリーランスの比較
- 正社員の平均年収: 日本のUXデザイナーの正社員としての平均年収は約600万円から750万円程度です。具体的には、企業によって異なりますが、一般的に経験が豊富なデザイナーは高い年収を得る傾向があります。また、安定した給与と福利厚生を享受できますが、年収はフリーランスよりも低い場合が多いです。
- フリーランスの平均年収: フリーランスのUXデザイナーは、プロジェクトベースで働くため、質や量に応じて収入が変動しますが、一般的には約600万円から800万円程度が相場です。特に、経験豊富なフリーランスデザイナーは、より高い年収を得ることが可能です。
経験年数やスキルによる年収の変動
- 初級(1年未満): 初任給は約300万円から400万円程度で、経験が浅いデザイナーはこの範囲に収まります。
- 中堅(1-5年): 経験が1年から5年のデザイナーは、平均年収が約400万円から600万円に上昇します。この段階では、スキルやポートフォリオの充実度が年収に大きく影響します。
- 上級(5年以上): 5年以上の経験を持つデザイナーは、年収が600万円から900万円以上になることもあります。特にマネジメント職や専門的なスキルを持つ場合、年収はさらに高くなる傾向があります。
UXデザイナーになるために
UXデザイナーは即戦力となることが求められるため未経験ですぐに就職することが難しい職業です。
そのため、本章ではUXデザイナーになるまでの道筋をステップバイステップで解説していきます。
- Webデザインを学ぶ
- UXデザイナーに必要なスキルや知識を身につけるには、Webデザインから学び始めることをお勧めします。
- デザインスクールに通う
- 独学で学ぶこともできますが、Webデザインスクールに通うことで現役のデザイナーから直接指導を行ってもらえたり、就職活動において必要となるポートフォリオ制作や模擬面接の支援を受けることができます。Webデザインスクールはオンライン、オフラインどちらでも通うことができ、価格は月額数千円~と費用を抑えて学ぶことも可能です。
- 実務経験を積む
- スクールを通じて実際のプロジェクトに関わることで、実務的なスキルや作品を蓄積することができます。これはポートフォリオにおいて重要なアピール材料になります。
- また、スクールでのネットワークを活用して業界内での人脈を築くことができ、プロジェクトに携わることができます。
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おすすめの資格
UXデザイナーになる上で資格を取得することは必須ではありませんが、自分の能力を示すために有効なおすすめの資格を5つご紹介します。
技能検定 | ウェブデザイン能力認定試験 | Webクリエイター専門家資格認定制度 | 人間中心設計(HCD)デザインコーディネーター 認定資格 | ユニバーサルプロフェッショナル 認定試験 | HTML5|
概要 | 日本国内で唯一の国家資格。 ウェブデザインに必要な知識や技能を認定。 1級から3級。 各級で実技試験と学科試験が行われる。 | ウェブ制作に必要な知識や技能を認定する試験。 HTML、CSS、JavaScriptなどの基礎知識が問われる。 | HCDに基づく設計プロセスを理解し、実践できる能力を認定する資格です。ユーザーの視点を重視したデザインが求められる。 | ユニバーサルデザインの視点から商品やサービスを改善するための知識とスキルを証明。 | HTML5、CSS3、JavaScriptなどの技術を用いたWebコンテンツの制作能力を認定。 |
費用 | 3級: 学科6,000円、実技8,000円 2級: 学科7,000円、実技16,000円 1級: 学科8,000円、実技25,000円 | スタンダード 6,100円 エキスパート 7,700円 | HCD認定試験 12,000円 | 3級: 約12,100円(税込) 準2級: 約69,300円(税込) 2級: 約193,600円 準1級: 有資格者のみ受講可能。費用は問合せ。 1級: 有資格者のみ受講可能。費用は問合せ。 ※講習・テキスト代・検定料・事務手数料・認定証・認定カード発行費用含む | レベル1 ¥16,500(税込) レベル2 ¥16,500(税込) |
難易度 | ★☆☆ 3級は初心者向けで合格率は60%を超え 1級は難易度が高く、合格率は10%~20% | ★☆☆ 初級から中級者向けで、合格率は60%程度とされています。特に3級は初心者でも挑戦しやすい内容である。 | ★★☆ 実務経験が求められるため、一定の専門知識と経験が必要。 | ★★☆ 3級は初心者向けなものの、準2級から実務経験が求められ、準1級・1級は高度な専門知識が必要。 | ★☆☆ レベル1は基礎知識を問うため、比較的合格しやすいとされていますが、約7割の正答率が求められる |
公式サイト | ウェブデザイン 技能検定 | サーティファイ | HCD | UDC | HTML5 |
資格取得のメリット
スキルの証明 自分のスキルの客観的な証明。クライアントや雇用主に対する信頼性を高める。
体系的な知識の習得 資格試験の勉強を通じWebデザイン知識を体系的に学ぶ。
最新情報の取得 専門家によって監修された参考書や問題集を通じて業界のトレンドを把握。
まとめ
現代では、デジタル製品やサービスの普及によってユーザー体験(UX)の重要性が増しており、企業は顧客満足度を向上させるためにUXデザインに注力しています。特に、AIやVR/AR技術の進展により、新たなユーザー体験を創出する機会が増えており、UXデザインの需要は今後も拡大すると予測されています。
このようにUXデザインの需要が高まる中で、ユーザーのニーズを理解し、使いやすいプロダクトを設計するUXデザイナーは重要な役割を果たしています。この記事を通して、具体的な業務内容や必要なスキル、キャリアパスを理解することで、今後のキャリア形成に役立てることができます。
皆さんも、資格取得や実務経験を通じて、より良いユーザー体験を提供するプロフェッショナルを目指しましょう!!
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